February 25, 2021 - Food Stories Recipes

マドリードの花見といえばアーモンド

日本から離れてヨーロッパに渡ると決めた時、確実にホームシックになるだろうと思っていたものがいくつかある。満開の桜の下行われる大宴会、花見もその一つだった。東京に住んでいた5年間、春めいてくると開花情報をチェックし、桜が咲き始めると週末は毎日のようにお花見の予定を入れたものだった。

日本のような花見の文化はなくとも、長い冬のあと春が待ち遠しいのはヨーロッパでも同じだ。そしてマドリードではその春は一足早くやってくる。2月にもなると、広場や道にある木々は芽吹き、花を咲かせるようになる。その花を愛で、陽気に当たって春の訪れを感じるのは同じだ。

ミモザの花も空を春色に染めてくれる

マドリードには桜の木もたくさんあるが、最初に花を咲かせるのはアーモンドの木だ。街の東方にあるQuinta de los Molinos(キンタ・デ・ロス・モリーノス)公園は、アーモンドの木々が栽培されている公共の公園。2月から3月にかけては多くの人々が満開になったアーモンドの花を楽しみにくる。果樹園のように並んで栽培されている木々、芝生に覆われた青々とした地面と透き通った青空に、薄紅色の花がとても映える。芝生はピクニックをするのに最適で、おいしいオリーブと生ハムにチーズ、ワインは持ち込み必須だ。

果樹園のように並んだアーモンドの木々。Quinta de los Molinos公園にて

お弁当には美味しいワインと自家製パン、ハムとチーズが欠かせない

青々とした芝生でお花見を楽しむ人々。日本とは比べものにならないソーシャルディスタンス

今回はアーモンド花見のおやつに、アーモンドオレンジケーキも持参。アーモンドもオレンジも、スペインの特産物。このコンビネーションのデザートはスペインでは多くあるが、このケーキもみんなの好物の一つ。アーモンドと卵がたっぷりの生地は甘く香り、柑橘の酸味がきりりと引き締める。アレンジしてケーキの底に引いたオレンジのシロップ漬けがマーマレードのような苦味を足してくれて大人な味に仕上げている。

アーモンドオレンジケーキに台湾茶、バレンタインデーの残りのトリュフ

アーモンドオレンジケーキ(パウンド型 25cm)

マーマレードベース

オレンジ(有機)1/2個

きび砂糖or黒砂糖 100g

生地

アーモンドパウダー 160g

有機オレンジ 1.5個

卵 4個(卵黄と卵白に分ける)

砂糖 160g

小麦粉 大さじ2

ベーキングパウダー 小さじ1/2

1. ケーキの型はオーブンペーパーをひいておく。

2. マーマレードベースを作る。きび砂糖又は黒砂糖を水大さじ2と一緒に鍋に入れて溶かす。溶けてカラメルの香りがしてきたらオーブンペーパーをひいたケーキ型に流し入れる。固まるようなら満遍なく底に広げておく。

3. 有機オレンジをよく洗い、1/2個を2mm幅に薄くスライスする。ケーキ型の底のカラメルの上に綺麗に見えるように並べて入れる。

4. 生地を作る。卵黄と砂糖を泡立て器で白っぽくなるまで5分ほどよく混ぜる。

5. 有機オレンジ1.5個はよく洗い、果汁は絞り(160mlほど)、皮は白い部分が入らないようにすり下ろす。④にアーモンドとオレンジ果汁+皮、小麦粉、ベーキングパウダーを加え、混ぜる。

6. 卵白は塩少々を加えてメレンゲになるまで泡立てる。⑤に加えて均等にさっくり混ぜ合わせる。用意したマーマレードベースの入った型に流し入れる。

7. 180℃に予熱したオーブンで45分焼く。途中、上部が焦げそうなら温度を170℃に下げる。竹串をさして生地がつかなければ焼き上がり。荒熱をとって、型から出し、オーブンペーパーをそっとはがす。

フワフワのメレンゲで生地が型に入りきらなかったので急遽丸いケーキも!

こちらは残り生地で作った、マーマレードベースなしの薄めケーキ。こっちも素朴で美味しい。

メレンゲのおかげでかなり膨らむけど、冷めるとしぼむので型の縁1cm下くらいまで生地を入れても大丈夫。アーモンドがメインの生地はしっとりしていて、常温で保存してても5日間ほど美味しく食べれます。オレンジは皮がおいしいのでできれば有機栽培のものを。

アーモンドの開花を皮切りに、街の所々で様々な木が満開を迎えている。日本で桜が咲く時期までには、マドリードには初夏がやってきそうな勢いだ。しばらくはピクニック日和が続きそう。

Quinta de los Molinos(キンタ・デ・ロス・モリーノス)公園

地下鉄5番線(黄緑色)、Suanzes(スアンゼス)駅より徒歩1分